七転八起のルーツは、禅宗の開祖である達磨大師(だるまだいし)の座禅伝説と、日本古来の民俗信仰が融合した歴史にあります。
中国の嵩山少林寺で9年間にわたり壁に向かって座禅を組み続け、手足が腐り落ちても悟りを開いたとされる達磨大師の過酷な修行伝説から、日本では手足のない丸いフォルムの「だるま(達磨)」が作られるようになりました。このだるまの底に重りを入れ、倒してもすぐに自力で起き上がる玩具として考案されたのが「起き上がり達磨」です。
さらに福島県会津地方などの伝統工芸品として知られる「起き上がり小法師(おきあがりこぼし)」など、倒れても倒れても立ち上がる姿は、飢饉や天災、戦乱に見舞われてきた日本の庶民にとって「家内安全」や「無病息災」「商売繁盛」を願う縁起物として深く愛されてきました。
倒れることを恥とせず、何度でも立ち上がればよいという民衆の生活の知恵とレジリエンス(回復力)が、やがて「七転八起」という四字熟語として結実し、日本人の精神的バックボーンとして定着していったのです。