本菌が引き起こす病態の中で、最も恐れられているのが感染性心内膜炎である。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が引き起こす心内膜炎と同様、本菌による心内膜炎は進行が極めて早く、心臓弁の穿孔や腱索の断裂、大きな心臓疣贅(ゆうぜい)の形成を高頻度に引き起こす。
感染症内科学の専門家たちが特に警戒を強めているのは、自己弁心内膜炎における弁破壊率の高さだ。抗菌薬の投与だけで鎮火することは難しく、発症からわずか数日で急激な心不全や脳梗塞などの全身性塞栓症を併発する。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染症と同等、あるいはそれ以上のスピード感で外科的手術(心臓弁置換術)を決断しなければ、救命が困難になる事例が後を絶たない。