風向きが完全に変わったのは、昨今のパリ・ファッション・ウィークだった。老舗メゾンから新進気鋭のデザイナーまでが、こぞってアシンメトリーファッションの可能性を再定義した。布を左右非対称にドレープさせ、片方の肩先だけを彫刻のように露出させる造形美。それは、2000年代初頭を彩ったY2Kファッションのポップで奔放なエネルギーを、現代の洗練されたテーラリングへと昇華させた瞬間だった。
さらに、Netflixのヒットシリーズ『エミリー、パリへ行く』で主人公が見せたモダンなパリジャンスタイルも、このトレンドに拍車をかけた。画面越しに放たれる大胆かつ上品な肌見せスタイルは、ミレニアル世代からZ世代に至るまで一気に伝播。左右対称というクラシカルな美の規範を心地よく裏切るアプローチが、ストリートへ瞬く間に波及していった。