生まれつき片方の腎臓が存在しない状態を「先天性単腎(片側腎無形成)」と呼びます。発生頻度はおよそ1,000人から2,000人に1人とされ、決して極端に珍しい状態ではありません。胎児期に腎臓が形成されるプロセスにおいて、尿管芽と後腎組織の相互作用がうまくいかないことが主な原因とされていますが、多くは遺伝性ではなく突発的なものです。
先天性の場合、自覚症状がまったくないため、学校健診の超音波検査や成人後の人間ドックで初めて判明するケースが珍しくありません。
片腎になると、残されたもう一方の腎臓が通常の約1.5倍から1.8倍の働きを担当しようとします。これに伴い、残った腎臓の組織が物理的に大きくなる現象を「代償性肥大」と呼びます。この適応力のおかげで、1つの腎臓でありながら健常時の約70〜80%の全体機能をカバーすることが可能になります。