なぜ『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の対戦環境はこれほどまでに熱く、世界中のゲーマーを惹きつけ続けるのか。その理由は、開発会社である株式会社ゲームフリークが長年にわたり磨き上げてきた対戦バランス調整の思想にある。
かつて増田順一氏らが構築した属性対立のフレームワークを受け継ぎつつ、ディレクターの大森滋氏をはじめとする開発陣は、本作において「ジャンケンを超えた動的相性変化」を具現化した。従来のシリーズでは固定化されがちだった強ポケモンと弱ポケモンの関係性が、テラスタルという不確定要素によって絶えず揺れ動く。
任天堂株式会社および株式会社ポケモンが主導する世界大会(WCS)でも見られるように、最新の対戦メタは数週間単位で進化を遂げている。ゲーム産業全体を見渡しても、これほど長期間にわたってプレイヤー同士の奥深い心理戦と相性理論が研究され続けるロールプレイングゲーム(RPG)は極めて稀有だ。