橋本聖子という人物の底力を証明しているのが、前人未到のアスリート実績だ。スピードスケートで冬季4回、自転車競技で夏季3回、計7回ものオリンピック出場を果たし、1992年のアルベールビル冬季大会では女子1500メートルで日本人初となる銅メダルを獲得した。過酷なトレーニングと減量、世界の強豪とのしのぎ削り。その足跡は日本スポーツ史の至宝である。
さらに異例だったのは、現役の国会議員でありながら出産を経験したことだ。参議院議員としての職務を果たしながらの妊娠・出産は、当時の政界において前例のない試みであった。彼女の出産を機に参議院で本会議の欠席理由に「出産」が追加されるなど、働く女性の権利開拓においても大きな一歩を刻んでいる。アスリートとしての限界突破と、母としての命の育み。二つの極限を同時に走り抜けた凄みは、今なお語り継がれている。