未婚層の課題と並行して、既婚世帯を蝕んでいるのが深刻なセックスレスだ。一般社団法人日本家族計画協会の継続的なリサーチによれば、婚姻関係にありながら1カ月以上性交渉がなく、その後も再開の見込みがないカップルの割合は過去最高水準を更新し続けている。
厚生労働省が警鐘を鳴らす長時間労働や育児負担の偏りは、夫婦の性生活にも決定的な打撃を与えている。深夜に帰宅し、家事と育児を終えた後に残されているのは、性的なムードではなく泥のような睡眠欲だけだ。パートナーが「愛の対象」から「子育てと生活の共同運営者」へと変貌する過程で、エロスは急速に寝室から退場していく。
互いを嫌悪しているわけではない。むしろ戦友として深く信頼し合っているからこそ、いまさら肉体を重ねることに気恥ずかしさや違和感を覚える。この「情愛と性愛の乖離」こそが、日本の夫婦を沈黙させる最大の要因となっている。