時代を振り返れば、平成の幕開けとともに皇室へ入られた当時のフィーバーぶりは凄まじかった。学習院大学教授の官舎暮らしから皇室入りした経歴は「3LDKのプリンセス」としてマスメディア・出版報道に大々的に取り上げられ、その飾らない笑顔は日本中を魅了した。
しかし、皇室の世代交代が進むにつれて報道のトーンは徐々に変化していく。親しみやすさの象徴だった笑顔は、いつしか「作り笑い」「仮面」と揶揄されるようになり、徹底した自己規律は「頑固」「強いこだわり」と書き立てられた。メディアは常にわかりやすいストーリーを求める。かつての「天真爛漫なシンデレラ」から「強権的な母」へと、都合よく人物像を書き換えてきた歴史がある。
だが、身近に接する人々が口を揃えるのは、彼女の行動原理が一貫して変わっていないという点だ。学習院時代から地道に続けていた手話の習得や、心理学・結核予防活動への真摯な取り組み。ブームに浮かれることなく、自らに課された役割を着実に積み上げていく実直さこそが、メディアの偶像化と脱神話化の狭間に隠された実像である。