犬のヒゲは専門用語で「触覚毛(しょっかくもう)」または「洞毛(どうもう)」と呼ばれます。通常の体毛とは根本的に構造が異なり、太く硬い毛幹の根元にある毛包(もうほう)が「血洞(けつどう)」と呼ばれる血液の層と豊富な三叉神経ネットワークで包まれています。わずかな風の動きや障害物との接触を敏感に感知するセンサーとしての役割を担っているのが、感覚器官としての理由です。
犬と猫では、同じ触覚毛であっても生活上の重要度と依存度に大きな開きがあります。以下の比較表は、両者の機能的・行動的な違いを整理したものです。
犬の視力は人間でいう0.2〜0.3程度とされ、特に顔の真正面数十センチ以内は鼻腔が死角となりピントが合いにくい構造をしています。ヒゲは、この死角にあるフードボウルや壁の距離感を測ったり、草むらに突っ込んだ際に目の上のヒゲが反応してまぶたを瞬時に閉じたりといった「顔面の防御シールド」として働いています。