プロダクション人力舎の芸人たち、とりわけ東京03やおぎやはぎといった先輩たちにも共通するのは、「日常の延長線上にあるリアリティと狂気」の描き方です。ラバーガールのコント作り方も、この系譜を色濃く受け継いでいます。
彼らの発想法における最大の特徴は、「非日常なファンタジーを作らない」という徹底したリアリズムへのこだわりです。舞台となるのは、街の洋服店、居酒屋、学校の職員室、ホテルのフロントなど、誰もが一度は足を踏み入れたことのある身近な空間ばかり。その見慣れた日常風景の中に、大水が演じる「一見普通だが、決定的にどこかが狂っている人物」を滑り込ませます。
ネタ作りの現場では、最初からオチを決めて書き進めることは稀です。まずは大水が「もしこんなシチュエーションで、こう言われたら嫌じゃない?」と飛永に語りかけ、そこから2人で即興的にアドリブを重ねていきます。飛永が思わず「それおかしいだろ」「どういうつもりなの?」と本音で返した言葉が、そのまま本番のツッコミフレーズとして採用されるケースも少なくありません。
感情を過剰に爆発させて大声で怒鳴るツッコミをあえて封印し、あきれや困惑をベースにした抑制の利いたツッコミを採用する点も、計算された戦略です。ツッコミのトーンを抑えることで、ボケの持つ奇妙な輪郭がくっきりと際立ち、じわじわと後を引く独特の空気感が生まれます。