人工膀胱を公表した芸能人の現在|過酷な闘病とストーマの真実の全体像を丁寧に掘り下げてご紹介します。

膀胱がんが粘膜の下にある筋層にまで及ぶ「筋層浸潤性膀胱がん」と診断された場合、標準治療となるのが膀胱全摘除術です。男性の場合は膀胱、前立腺、精嚢を、女性の場合は膀胱、子宮、膣の一部を切除するため、尿を体外へ導くための「尿路変更術」を同時に行わなければなりません。

尿路変更には主に複数の術式が存在し、それぞれ術後のQOLや管理方法が大きく異なります。患者の年齢、全身状態、がんの発生部位によって慎重に判断されます。

術式の種類詳細・管理の特徴術後メリットと主なリスク編集部の医学的視点・適応基準回腸導管造設術
(非禁制型ストーマ)回腸(小腸)を約15cm切り離して導管とし、腹壁にストーマを造設。外側にパウチ(蓄尿袋)を常時貼付して管理する。【利点】手術手技が安定し合併症が比較的少ない。
【リスク】皮膚障害、パウチの定期交換、ストーマ狭窄。世界的に最も標準的な術式。高齢者や腎機能低下例でも安全性が高く、小倉智昭氏も本術式を選択。新膀胱造設術
(代用膀胱/自排尿型)腸管を袋状に縫合して新膀胱を作り、本来の尿道に接続。腹圧をかけて尿道から排尿する(パウチ不要)。【利点】体表面にストーマが露出しない。
【リスク】尿意の消失、夜間尿失禁、自己導尿の必要性、尿道再発リスク。尿道にがんの浸潤がない若年層〜壮年層に選ばれやすい。術後の排尿訓練と腹圧排尿の習得が不可欠。尿管皮膚瘻造設術
(簡易型尿路変更)尿管を直接腹壁に引き出してストーマとする術式。腸管を切除・縫合しないため身体的負担が極めて小さい。【利点】短時間で手術が完了する。
【リスク】尿管狭窄を起こしやすく、体内にカテーテル留置が必要な場合が多い。超高齢者や重篤な併存疾患を抱える患者など、長時間の麻酔や腸管手術に耐えられない症例に限定される。

「パウチを付けたくないから新膀胱にしたい」と希望する患者は少なくありません。しかし、新膀胱は手術時間が長時間に及び、術後に尿意が完全になくなるため、定期的に時間を決めて腹圧で排尿する訓練が求められます。一方の回腸導管は、パウチ装着という外面的な変化を受け入れる必要があるものの、排尿コントロールの破綻による腎障害リスクが低く、社会復帰への予測が立てやすいという実利的な強みを持っています。