ネット上の情報やDIYコミュニティでは、「レースウェイは頑丈なレールだから、どこにでも重い機器を吊るせる」「ライティングレールのように器具を自由に増やせる」といった誤った認識が散見されます。しかし、実際の建築設備設計においては見過ごせない重大な盲点が存在します。
誤解1:照明器具のレイアウト変更が誰でも自由に行える
ライティングレールは無資格者でも器具のプラグを差し替えるだけで位置変更が可能ですが、レースウェイの照明器具取付・移設は電気工事士の有資格者による結線作業が必須です。レースウェイ内部の配線は器具ごとに圧着端子やコネクタで結線されているため、安易に一般ユーザーが器具を動かすことは法令違反および火災事故につながります。
誤解2:地震対策は通常の吊りボルトだけで十分である
近年、地震時の天井脱落や照明器具の落下事故を防ぐため、国土交通省の「官庁施設の総合耐震計画基準」や各メーカーの耐震支持施工要領に基づく耐震補強が厳密に求められます。単にボルトで吊り下げるだけでは、地震の横揺れでレースウェイ同士が激しく衝突し、脱落や配線断線を招く恐れがあります。長スパンの直線ルートには、一定間隔(一般的に縦横方向で6〜12mごと)で耐震ブレース(斜め振れ止め金具)を確実に設置しなければなりません。
誤解3:金属製だからといってアース工事を簡略化できる
レースウェイは金属製導電体であるため、漏電時の感電事故を防止するためにD種接地工事(使用電圧300V以下)の施工が義務付けられています。レール相互をジョイント金具で接続する際、確実な電気的導通を確保するためのボンド線(ボンディングジャンパー)を渡すか、導通ボルトが規定トルクで締め付けられているかをテスターで測定・確認する必要があります。