全米No.1を獲得し、彼らを一気にスターダムへと押し上げた名曲「シェリー」。あの伸びやかな天使の歌声を生み出したのは、類稀なるトーンを持つフランキー・ヴァリだった。しかし、ラジオから曲が流れ、全米が熱狂していたまさにその時、バンドの舞台裏は破滅の危機に直面していた。
下積み時代から彼らを破滅の縁へと追いやっていたのは、地方の小さなクラブの出演料だけでは到底賄えない巨額の借金だった。過酷なツアーの合間を縫うようにして重くのしかかる返済要求。ポップス史に燦然と輝く名曲たちは、単なるひらめきではなく、過酷な現実に追いつめられた男たちが生き残るために搾り出した血と汗の結晶だったのだ。甘いラヴソングの旋律に隠された圧倒的な緊迫感こそが、音楽業界の語り草となっている。