ポニーカーの誕生から間もなく、マスタングはサーキットの覇者へと進化を遂げる。ここで登場するのが、伝説のチューナーでありレーサーのキャロル・シェルビーだ。彼の手によって鍛え上げられた「シェルビーGT350」や「GT500」では、おなじみの馬のバッジが姿を消し、鎌首をもたげた獰猛なコブラのエンブレムが与えられた。
優雅に駆けるポニーから、獲物を狙う毒蛇へ。このバッジの変更は、単なるデザインの違いではない。直線番長のイメージを覆し、欧州の名門スポーツカーをサーキットでねじ伏せる本格マッスルカーへの覚醒を告げる宣戦布告だったのだ。ファンにとって、グリルに輝くバッジが馬かコブラかは、その車両に宿る狂気の度合いを測るバロメーターとなった。