サカナクション『新宝島』が愛され続ける理由|Mvと歌詞誕生の全貌を徹底追究! 知っておきたい 情報と解説を凝縮して配信します。

『新宝島』が世に放たれるまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。本作は、漫画家を目指す高校生コンビの青春と葛藤を描いた大ヒット映画『バクマン。』(2015年公開、大根仁監督)の主題歌として書き下ろされた楽曲です。大根監督からの「誰もが歌って踊れる、超王道のポップソングを」という熱烈なリクエストを受け、フロントマンの山口一郎はかつてない重圧の中でペンを握りました。

当時、バンドは常に先鋭的なロックとダンスミュージックの融合を追求し、批評性と大衆性の狭間で葛藤を続けていました。「大衆に向けたキャッチーな王道曲」というオーダーは、ある意味で自らの音楽的アイデンティティを根本から揺さぶる挑戦だったのです。楽曲制作は難航を極め、締め切りが迫るなかで約半年間ものあいだ試行錯誤が繰り返されました。山口自身が後にインタビューで「これまでの音楽人生の中で最も過酷な制作だった」と振り返るほど、極限状態の中で搾り出されたのがこのメロディでした。

また、曲名である『新宝島』は、日本のストーリー漫画の始祖と呼ばれる手塚治虫の記念碑的作品『新宝島』(1947年)から直接拝借したものです。映画のテーマである「漫画」の源流を遡り、偉大なる先人への敬意を込めて手塚プロダクションに正式に許可を得て命名されました。カルチャーの歴史を受け継ぎ、新たな地平を切り拓くという強い覚悟が、このタイトルには刻まれています。