長年信じられてきた「成虫の寿命は1週間」という説ですが、結論から言えば完全な誤りです。野外で自然に暮らすセミの成虫は、天敵に捕食されたり悪天候に見舞われたりしなければ、平均して2週間から3週間、個体によっては1ヶ月以上も生き続けます。
岡山県の高校生が2019年に発表したアブラゼミやクマゼミのマーキング調査(再捕獲法)では、最長で30日以上生存した個体が確認され、昆虫学会でも大きな話題となりました。野外環境で十分な樹液を吸い、自由に飛び回れる環境にあれば、セミの成虫は人間が思っている以上にタフに生き延びます。
では、なぜ「1週間」という俗説がこれほど広く定着してしまったのでしょうか。最大の理由は「人間が飼育したときの生存日数」にあります。セミは非常に繊細で、虫かごの中では餌となる生きた樹木の樹液を吸うことができず、激しく羽ばたいて体力を消耗し、数日〜1週間足らずで衰弱死してしまいます。この飼育下の観察結果が、小中学校の自由研究や一般常識として広まった結果、誤ったイメージが固定化してしまいました。