セミの目は実は5つ?赤い理由と驚きの見え方・生死の見分け方を解説の真相について、最新情報を取りまとめてご紹介します。

SNSやネット掲示板で夏場に頻出するのが、「セミは視力が悪すぎて前が見えていないから人に突っ込んでくる」「自爆テロのように突進してくるのは盲目だからだ」という言説です。しかし、この解釈は昆虫の飛行力学と認識メカニズムを見誤った誤解です。

第1の盲点は、「セミの飛行制御能力とブレーキ性能の低さ」にあります。セミの筋肉量はその体重の大部分を占めており、時速15〜20km近くの猛スピードで直線的に飛翔します。しかし、ハエやハチのように空中でホバリングしたり、急制動をかける繊細な舵取り機能を持っていません。一度飛び立つと「前進あるのみ」の弾道飛行に近くなるため、目の前に障害物が現れても急ブレーキが間に合わず、激突してしまうというのが航空力学上の真相です。

第2の盲点は、視覚的な「誤認」です。セミにとって人間は「歩く巨大な茶色い幹」に見えています。解像度が粗い複眼で見ると、直立して歩く人間は、雨風をしのげて樹液を吸える木の幹と視覚パターンが酷似しています。危険を避けて逃げた先にある「太い木の幹」だと思って必死に着地を試みた結果が、人間側から見れば「突然服に飛びついてきた」というパニック現象を生んでいるわけです。

さらに、夜間に自動販売機や街灯、マンションの共用廊下の蛍光灯へ激しく体当たりを繰り返す行動も、視覚の欠陥ではありません。多くの夜行性昆虫と同様、セミも月や太陽の自然光を一定の角度で目に捉えながら水平飛行を保つ「横角走光性」を持っています。至近距離にある人工照明は光が放射状に広がるため、光を一定角度に保とうと旋回するうちに軌道が螺旋状に狭まり、最終的に光源へ激突してしまうのです。