「大殺界に入った途端、身内に不幸が起きたり事故に遭ったりした」という体験談は、ネット掲示板や知恵袋などで数多く共有されています。こうしたエピソードを目にすると、まるで目に見えない呪縛に囚われたかのような恐怖を覚えるのも無理はありません。しかし、情報社会論や認知心理学の知見に照らし合わせると、この言説の背後には明確な認知の歪み、すなわち確証バイアスが存在することがわかります。
人間は「自分は今、不吉な時期にいる」と強く思い込むと、日常茶飯事に起こる些細なトラブル——電車の遅延、体調不良、仕事でのケアレスミス——をすべて「大殺界のせい」と関連付けて記憶に定着させます。一方で、その期間中に起きた幸運や平穏な日常は記憶から無意識に排除されてしまうのです。さらに心理学でいう自己成就予言の作用も見逃せません。「どうせ失敗する」という過剰な不安や警戒心が無意識の焦りを生み、対人関係での摩擦や判断ミスを自ら引き寄せてしまう構図が、数々の現場検証から浮き彫りになっています。
六星占術において、大殺界は12年のバイオリズムの中に組み込まれた陰影(いんえい)・停止(ていし)・減速(げんそく)という3つの星回りを指します。人生を四季に例えるならば、まさに「冬」の季節です。冬に種をまいても芽が出にくいのと同様に、大々的な拡張や新規事業の立ち上げには向かない時期とされますが、それは決して「生命の死」を意味するものではありません。土の中で静かに栄養を蓄え、春(種子)の訪れに備える準備期間と捉えるのが、理論本来の文脈なのです。