企業の社員研修を手がける人材育成産業や、個人のメンタルケアを担うカウンセリング業界においても、口下手へのアプローチは大きな変化を遂げている。従来のスパルタ式スピーチ指導は姿を消し、自己否定感やトラウマをやわらげるメンタルケアが主流となった。
学術団体である日本コミュニケーション学会の研究発表でも、コミュニケーションの成否には言葉の技術以上に「心理的安全性の確保」が深く関与していることが指摘されている。「上手く話せなくても受容される」という安心感があって初めて、人は伸びやかに言葉を発することができる。
カウンセリング現場では、過去の失敗体験による「どうせ自分は話せない」という認知の歪みを緩めるセッションが重視されている。技術を詰め込む前に、自分を責める思考パターンを解きほぐすプロセスが欠かせない。