山本一賢氏の活動実績を語る上で欠かせない金字塔が、2021年に劇場公開された長編映画『JOINT』(小島央大監督)です。本作において山本氏は、刑務所から出所後に個人情報詐欺や裏ビジネスの仲介者として頭角を現しながらも、カタギのITビジネスへの転身を模索する主人公・石神武を演じました。
本作が日本映画界に突きつけた衝撃は計り知れません。従来の昭和・平成型ヤクザ映画にありがちだった怒号や暴力の乱発を排し、現代の特殊詐欺やマネーロンダリング、名簿売買の現場を極めてドライかつスマートに描写。山本氏の演じた石神は、スーツを着こなして淡々とノートパソコンを操作し、グローバルなシンジケートと渡り合う「現代のグレーゾーン犯罪」の実像を恐ろしいほどの説得力で体現しました。
映画レビューサイト「Filmarks」や各種映画批評誌における山本一賢の評判は、「台詞の間や視線の配り方が本物以上にリアル」「息を呑む緊張感がある」と絶賛の嵐を巻き起こしました。さらに、本作はニューヨーク・アジアン映画祭など海外の映画祭でも高い評価を獲得。商業資本に依存しないインディペンデント体制でありながら、ミニシアターの興行ランキングでロングランを記録した事実は、日本映画史における特筆すべき成果です。