大手法律事務所の家事事件担当弁護士や自治体の女性相談窓口には、連日「親と絶縁したい」「毒親から逃げたい」という切実な相談が寄せられています。当事者が抱える親子関係断絶の理由は、かつてのような「親の決めた結婚への反発」といった家制度的な問題から、遥かに深刻な現代的リスクへと変貌しています。
現場で報告される「絶縁を望む理由」の生データ
家事相談の現場取材やSNS、当事者の手記から浮かび上がるのは、次のような過酷な現実です。
- 親からの執拗な金銭搾取:ギャンブル依存症や浪費癖のある親が、社会人になった子どもの勤務先や新居に押しかけ、借金の肩代わりを強要するケース。
- 毒親による精神的支配・共依存:子どもの就職先、結婚相手、果ては居住地域に至るまで過干渉を続け、思い通りにならないと「産んでやった恩を忘れたのか」と深夜まで電話やLINEを乱発するケース。
- 幼少期の被虐待体験:身体的暴力やネグレクトを受けて育ち、成人後に自立したにもかかわらず、親の老後や介護の連絡が福祉窓口から突然届き、フラッシュバックに苦しむケース。
ある30代女性は、自著や相談窓口の手記で次のように告白しています。「公証役場で弁護士と一緒に絶縁の念書を交わしました。でも、母は『親子であることは法律で決まっている』と平然と引越し先を探し出し、インターホンを鳴らし続けました。法律が自分を守ってくれないと知った時の絶望感は言葉になりません」。
行政の窓口でも長年、「家族なのだから話し合ってはどうか」という前近代的な「家族神話」に基づいた対応がなされ、被害者が追い詰められる悲劇が後を絶ちませんでした。法的断絶が不可能である以上、当事者に必要なのは「法的概念の解消」ではなく、「物理的・事務的な徹底防御」です。