音楽における変化記号の基本は、音の高さを「半音」単位でシフトさせる指示にあります。西洋音楽の1オクターブは12個の半音で構成されており、五線譜上の標準的な幹音(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)に対して変化を加える際に以下の記号が用いられます。
まず、シャープ(♯)は元の音を「半音高くする」記号です。日本語の伝統的な音楽用語では「嬰(えい)」と呼び、例えば「ド」にシャープが付いた音は「嬰ハ(えいは)」または「Cシャープ(C♯)」と表記されます。楽譜上でシャープが付いた音を演奏する際は、元の音よりもピッチを物理的に1段階引き上げます。
対するフラット(♭)は、元の音を「半音低くする」記号です。日本語では「降(こう)」と呼び、「レ」にフラットが付いた音は「変ニ(へんに)」または「Dフラット(D♭)」となります(※日本語の音名体系では「変」の文字が当てられます)。
さらに、変化記号を語る上で欠かせないのが「ナチュラル(♮)」です。ナチュラルは、シャープやフラットによって変化した音を「元の高さ(幹音)に戻す」役割を持ちます。また、極めて調号が多い楽曲や特殊な和声進行では、半音2つ分(=全音)変化させる「ダブルシャープ(𝄪)」や「ダブルフラット(𝄫)」が登場します。ダブルフラットには独自の専用文字がなく「♭♭」と2つ並べて書くのが通例です。