では、なぜ神道界の頂点に立つ組織がここまで迷走を続けたのか。取材によって浮かび上がったのは、最高権力者の座を巡る醜烈な裁量権争いと、外部からは見えにくい闇の構造である。実務トップである総長・田中恆清氏と、名誉職的な象徴でありながら人事指名権を持つ統理・鷹司尚武氏との間で、激しい主導権争いが勃発した。
田中総長側が長期政権の維持を狙い、異例の5期目就任を推進しようとした際、鷹司統理が指名を拒否する事態にまで発展。本来であれば厳かな神事と伝統によって支えられるはずの組織が、トップの座と人事権を泥縄式に奪い合う政治の場と化した。2026年現在の視点から振り返っても、人事指名をめぐる法的な紛争と意思決定プロセスの不全は、伝統組織のガバナンスが完全に機能不全に陥っている惨状を如実に物語っている。