この邸宅の歴史は、1934(昭和9)年にまで遡る。イギリス人貿易商であるアーネスト・ウィリアム・ス・ジェームス氏によって建てられた私邸であり、当時の塩屋・高台エリア(通称ジェームス山)の開発における象徴的建造物であった。
建築様式として採用されたのは、明るい赤瓦の屋根と清潔感溢れる白壁、優美なアーチ状の窓が特徴的なスパニッシュ・コロニアル様式建築だ。異国情緒が漂うそのデザインは、海と緑が交差する神戸の景観に見事なまでに溶け込んでいる。内装に施された手掘りの彫刻や贅沢な木目模様、ステンドグラスから射し込むやわらかな光は、当時の富裕層の卓越した美意識を如実に物語る。
歴史的・文化的に極めて高い価値を有することから、本邸宅は神戸市指定有形文化財に指定された。神戸市が誇る近代建築群の中でも、保存状態の良さと意匠の美しさにおいて、間違いなくトップクラスの逸品と言える。