マリアベールの起源は、キリスト教美術において聖母マリアが頭に纏っていたベールにある。カトリック教会の歴史において、女性が祈りの場に入る際に頭を覆う習慣は敬虔と謙遜の証とされてきた。1956年にモナコ公国のレーニエ3世と結婚したグレース・ケリーの婚礼衣装は、このクラシカルな精神を最高峰のウェディングドレス・オートクチュールへと昇華させた象徴的な事例として、今なお語り継がれている。
薄布一枚が放つ神聖なオーラ。それは単なる装飾品ではなく、花嫁の純潔と精神的な気高さを視覚化する装置として、中世ヨーロッパから現代に至るまで脈々と受け継がれてきた。