「スープカレーの可能性は、まだ全体の1割も掘り尽くされていない」
そう語る料理人(シェフ)の眼差しは鋭い。発祥の地である札幌スープカレーへの深い敬意を根底に宿しながらも、既存のレシピを無批判になぞることは一切しない。毎朝市場から届く有機野菜の水分量や糖度を見極め、素揚げの油の温度を秒単位で微調整する徹底ぶりだ。
ブロッコリーの香ばしい焦げ目ひとつにも計算が宿る。オイルの熱で甘みを最大限に引き出されたニンジン、スプーンで触れただけでホロリと崩れるチキンレッグ。食材ごとに個別の下処理を施し、最後の一滴までスープと調和させるその技法は、スープカレーという枠を飛び越え、完成されたフランス料理や日本料理の域に達している。