吉野裕行の名を代表作とともに挙げるならば、サンライズが手掛けた名作SFアニメ『機動戦士ガンダム00』は外せない。彼が演じたアレルヤ・ハプティズム(およびハレルヤ)は、二重人格という極めて難易度の高い役どころだった。静かな理性を保つアレルヤと、凶暴性を剥き出しにするハレルヤ。その瞬時の切り替えと、声のトーンの歪みを巧みに表現した演技は、当時のアニメファンと業界関係者に強烈な衝撃を与えた。
マイク前で瞬時に人格を切り替えるアフレコ現場では、息遣いや声帯の緊張感をミリ単位でコントロールしていたという。重厚な世界観を持つSFアニメにおいて、キャラクターの持つ孤独と葛藤を声だけで立体化してみせた仕事は、彼のキャリアにおける大きな金字塔となっている。