第22回小説すばる新人賞を受賞し、集英社から刊行された本作は、日本の青春文学におけるひとつの大きな転換点となった。物語の舞台は、どこにでもある普通の県立高校。運動部のエース、派手な女子グループ、大人しい文化部員。日常の風景の中に歴然と存在する「上位」と「下位」の境界線を、痛烈なまでの写実性で描き出している。
校内のパワーバランスは絶妙な均衡の上に保たれている。しかし、バレー部主将であり、運動神経抜群で容姿端麗、校内の頂点に君臨する「桐島」が部活をやめるという一報が駆け巡った瞬間、その平和な日常は呆気なく崩れ去る。主役不在のまま揺れ動く生徒たちの姿は、学校という小さな社会が抱える脆さと滑稽さを浮き彫りにする。