1983年に公開された大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』は、坂本龍一のキャリアにおける決定的な転機となった。役者として陸軍将校役に抜擢された彼は、劇中での圧倒的な存在感とともに、作品を永遠のクラシックへと高める映画音楽を手掛けた。
共演したデヴィッド・ボウイとの緊張感溢れるスクリーンの交錯は、今見返しても息を呑む美しさだ。異国の戦場という極限状態を描いたテーマ曲「Merry Christmas, Mr. Lawrence」は、東洋的な音階とガムランを思わせる神秘的なベルの音色、そして切ないメロディが見事に融合した傑作。映画のヒットとともにこの旋律は世界中の人々の心に浸透し、映画音楽家としての才能を世界に見せつけることとなった。