彼のライフワークを語る上で欠かせないのが、半世紀近くに及ぶハンセン病制圧活動だ。世界保健機関 (WHO)のハンセン病制圧特別大使として、訪れた国は120カ国を超える。世界各地の隔離病棟や人里離れた集落へ足を運び、偏見に晒された患者たちの手を素手で握りしめ、抱きしめる。感染しないという医学的事実を、自らの肉体をもって証明し続けた。
「病気そのものを治すのは薬だが、社会的な差別を治すのは人間の心だ」。彼が繰り返してきたこの言葉は、単なるスローガンではない。薬の無償配布ルートを世界中に張り巡らせ、制圧の基準を満たした国が次々と増えていく中でも、回復者が直面する人権侵害の現場に立ち続けた。単なる医療支援の枠組みを越えたこの国際人道支援のモデルは、国際社会における日本のソフトパワーの象徴として極めて高く評価されている。