労働者の意識変化に伴い、人材サービス産業のビジネスモデルも大きな転換期を迎えている。業界最大手の株式会社リクルートが展開する転職支援サービスでは、求人票における「求ム、情熱」といった抽象的なスローガンよりも、具体的な業務内容、リモートワークの可否、明確な評価体系の明記が内定承諾率を大きく左右するようになった。
さらに、ハイクラス層をターゲットとするビズリーチの登録者データからも興味深い動向が読み取れる。年収1,000万円を超えるトップ層であっても、「会社への忠誠心」を理由に留まる人は激減している。自らの市場価値を客観的に把握し、現職を「報酬とキャリアの踏み台」としてドライに割り切りながら、次の最適解を常に探り続ける傾向が強い。
このように、人材市場の最前線では「割り切り=やる気のない労働者」という旧来のレッテルはもはや通用しない。優秀な人材ほど、精神的には会社と距離を置きつつ、提供する価値と対価のトレードオフを冷徹に計算している。企業側もまた、情緒的なエンゲージメントに頼る採用活動からの脱却を余儀なくされている。