その思想を具現化しているのが、彼女自ら陣頭指揮を執る「リポビタン Presents 伊達公子×YONEX PROJECT」だ。有望な女子ジュニアを全国から選抜し、数年スパンで徹底的に鍛え上げるこのプロジェクトは、単なる強化キャンプの枠組みを遥かに超えている。
キャンプの現場に響くのは、厳しいゲキだ。「なぜ今そのコースを選んだの?」「海外の選手なら今の甘い球は見逃してくれない」。コートサーフェスも国内に多いオムニ(砂入り人工芝)ではなく、世界標準であるハードやクレーコートでのプレーを徹底。さらに、フィジカルトレーニング、栄養管理、英語でのコミュニケーション能力に至るまで、プロとして世界を転戦するために必要な要素がすべてカリキュラムに組み込まれている。
生半可な気持ちで飛び込んできたジュニアが涙を流す場面も珍しくない。しかし、伊達の手腕が非凡なのは、厳しさの裏に緻密な愛情とプロフェッショナリズムが同居している点にある。彼女自身がツアーで経験した過酷な現実を、包み隠さず次世代へ手渡しているのだ。