日本の漢方薬市場を牽引するツムラ(株式会社ツムラ)やクラシエ(クラシエ株式会社)の製品群を詳細に分析すると、各メーカーが単なる成分競争に陥らないよう極めて緻密な設計思想を貫いていることが浮き彫りになる。
医療用漢方において圧倒的なシェアを誇るツムラは、日本東洋医学会が積み重ねてきた膨大な臨床知見と日本薬局方の規格に基づき、常にブレのない均一な抽出エキス粉末を世に送り出している。一方、一般用医薬品で独自の存在感を放つクラシエは、生活者の多様なニーズに応えるため、防風通聖散ひとつをとっても「エキス満量」のハードな処方から、穏やかに続けられる減量処方まで、複数の選択肢をきめ細かくラインナップしている。
これら製薬企業のアプローチは、漢方が数千年の歴史の中で培ってきた「個々の体質に応じた加減乗除」の知恵を現代の製剤技術へと見事に落とし込んだものだ。店頭に並ぶパッケージの違いは、メーカーが意図した「使い分けのメッセージ」そのものなのである。