彼の手掛ける作品は、単一のジャンルに収まらない。血がたぎるようなサスペンス・アクションのスリルを巧みに走らせながら、物語の深層には濃厚なヒューマンドラマを忍ばせる。観客を息もつかせぬテンポで翻弄した末に、逃れられない人間の宿命を突きつける構成力は秀逸だ。
暴力の痛覚、哀切なまなざし、静寂に潜む狂気。これらが絶妙なバランスで混ざり合い、独自のシネマティックなグルーヴを作り出す。エンターテインメントとしての刺激と、芸術としての純度の高さ。その両極を一切の破綻なく共存させられる点に、映像作家としての真価がある。