似非の読み方と意味とは?「にひ」の誤読や偽物との違いを徹底解説に関する基本知識をわかりやすくまとめました。今すぐチェックことができます。

「えせ」という言葉の語源を言語学的に辿ると、平安時代以前の古代日本語にまで遡ります。もともと古語において「良し(優れている)」を意味した「え」という副詞に、動詞「す(為)」の未然形+打消の助動詞「ず」がついた「えせず(良からず=良くない、劣っている)」という表現が名詞化したとされています。

平安文学の代表作である『源氏物語』や『枕草子』『土佐日記』などでも、「えせもの(身分の低い者・つまらない者)」「えせ歌(下手な歌)」「えせ絵(稚拙な絵)」といった用例が頻繁に登場します。中世以降、漢籍の教養が広まる中で、儒教の根本経典『孟子』に登場する有名な一節「徳の賊なり、孔子曰く、郷原(きょうげん)は徳の賊なりと。悪(にく)むらくは紫の朱を乱るるを、悪むらくは鄭声の雅楽を乱るるを、悪むらくは佞口の信を乱るるを、悪むらくは似て非なるものを」という思想と結びつきました。

このように、「中身が劣る」という和語の「えせ」に、「本物に似せて本質を乱す」という漢語の「似非(似而非)」の字が当てられ、現代に続くえせの漢字表記として定着しました。なお、文献によっては「似而非」「奸」「僻」などの漢字が当てられることもあります。