手術室はなぜ陽圧なのか?陰圧室との違いや感染を防ぐ空調の仕組みに関する知りたいポイントをわかりやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。

どんなに優れた空調設備を備えていても、運用が伴わなければその機能は一瞬で無力化します。周術期管理チーム試験や麻酔科専門医試験の対策テキストでも頻出する重要項目であり、手術室看護師基礎知識として叩き込まれるのが「扉の開閉管理」と「入室人数の制限」です。

日本医療福祉設備協会の規格(HEAS-02)等に基づく気圧差設定基準では、手術室は廊下に対して+5〜15Pa以上の差圧を維持することが推奨されています。しかし、医療現場の取材や専門家の検証データによると、スライドドアを全開にした瞬間、この陽圧による空気抵抗はわずか数秒でゼロ近くまで急降下し、ドア付近で外気と内気が激しく混ざり合う「乱流巻き込み現象」が発生します。

手術室の壁面に設置された「マノメーター(差圧計)」の目盛りが正常値を示しているか確認する差圧計管理方法は、外回り看護師の日常点検における重要業務です。現場では以下のような厳しい運用ルールが敷かれています。

  • 不要不急なドア開閉の厳禁:手術器具の搬入や検体提出のたびにドアを開放しないよう、必要資材は手術開始前にすべて室内に準備する。
  • 開口幅と滞留時間の最小化:スタッフの出入り時は身体が通る最小限の幅で素早く開閉し、インターロック機構(前室の両側の扉が同時に開かないシステム)を遵守する。
  • 入室可能人数の制限:室内の人間が増えるほど、発汗、呼吸、体表からの落屑(フケや皮膚片)によって浮遊微粒子数が爆発的に増加するため、見学者や研修医の人数は厳密に制限される。

なお、患者や見学者から頻繁に寄せられる「なぜ手術室はいつも肌寒いのか?」という疑問も、清潔操作と深く関係しています。手術室の室温は通常22〜24℃前後(施設によっては20℃前後)に低く設定されます。これは術者が防護用ガウンを何重にも着用して強力な無影灯の下で作業する際の発汗を防ぐと同時に、室内における細菌の増殖活動を抑える目的があります。