「レシピ通りの時間でしっかり揚げたのに、骨の周りの肉が赤紫やピンク色をしている」という現象に遭遇し、生焼けと決めつけて再加熱を繰り返し、肉をパサパサにしてしまった経験を持つ人は少なくない。実は、骨の周辺が赤いからといって、必ずしも生焼け(加熱不足)とは限らない。
この現象の主犯は、骨髄液赤みミオグロビンの熱変性プロセスにある。手羽元として流通しているブロイラー(若鶏)は、生後50日前後と骨の組織がまだ未成熟で非常に柔らかい。そのため、加熱調理時の圧力変化によって骨の内部にある骨髄液(ヘモグロビンを豊富に含む)が、骨の細孔を通って周囲の筋肉組織へ染み出してしまう。さらに、筋肉中の赤色色素タンパク質であるミオグロビンは、骨に近い部位ほど高濃度に凝縮されている。
これらの血液由来の色素は、中心温度が75℃以上に達して完全に殺菌された後でも、赤褐色やピンク色として肉や骨に残存し続ける性質を持つ。これが「火は通っているのに赤い」真相である。
危険な生焼けと無害な色素沈着を見極める決定打となるのが、唐揚げ生焼け見分け方竹串テクニックだ。手羽元の最も肉が厚い部分、骨のキワに向かって金属串または竹串を深く刺し、5秒間保持する。引き抜いた直後の串先を自身の下唇に当ててみる。唇は人体の中でも熱に極めて敏感な部位であり、串先が「冷たい」あるいは「生ぬるい」と感じたら確実に生焼けである。反射的に「アツッ」と感じる熱さがあれば、中心温度は概ね75℃を超えていると判断できる。さらに串を抜いた穴から押し出される肉汁が澄んだ透明であれば、骨の周囲が赤く見えていても安全に食すことが可能だ。