毒島の真骨頂といえば、誰もが息を呑む「ウィリーターン」とサイドの掛かりの鋭さだ。ボートの船首を持ち上げ、水面との接地面積を最小限に抑えながら旋回半径を限界まで絞り込む技術は、モータースポーツとしてのボートレースにおける最高峰の芸術点と言っても過言ではない。
このターンを可能にしているのは、強靭な体幹バランスと、レバー操作のミリ単位の繊細さにある。一般財団法人BOAT RACE振興会が推進する最新の映像配信技術によってスロー再生される旋回シーンを見れば、ターンマークに激突する寸前で艇が水面を噛み、一気に前進力へと変換される様が明瞭に理解できる。
「滑らせて回るのではなく、水を押して前に出る」。毒島は自らの操縦技術をそう表現する。他艇が作った複雑な航跡(引き波)に突入しても艇が暴れないのは、プロペラのセッティングと旋回姿勢が完璧に同調している証拠だ。