ライアン・ゴズリングの「モルモン教脱退」について、インターネット上では時に「破門されたのではないか」「教会と激しい闘争があったのか」といった過激な噂が囁かれることがあります。しかし、綿密な取材記録が示す真相は、劇的な破門劇などではなく、本人の自立に伴う静かなフェードアウトでした。
英ガーディアン紙や米GQ誌などの長期密着インタビューにおいて、ライアンは自身の宗教的アイデンティティについて極めて率直に語っています。
「自分自身が本物のモルモン教徒だと感じた瞬間は、これまでの人生で一度もなかった。あれはあくまで『両親の信仰』であって、僕自身の信仰ではなかったんだ。両親を愛しているし、熱心に祈る人々の敬虔さを軽蔑するつもりは毛頭ない。けれど、物心がついたときから、僕の魂はその教義の中に収まるものではなかった」
彼が教会を離れた理由は、主に以下の3点に集約されます。
- 信仰の受動性からの脱却:親から与えられた教義を無批判に受け入れるのではなく、「自分自身の倫理観」で世界を捉え直したいという知的欲求。
- 両親の離婚による教義の絶対性の失墜:教え通りに生きても家族が破局に至った現実を目の当たりにし、教会の教えに盲従する意味を見失ったこと。
- 芸術表現における自由の獲得:2001年の主演映画『信徒(The Believer)』でユダヤ人でありながらネオナチに傾倒する過激な青年を演じるなど、善悪のグラデーションを描く俳優業と、白黒を明確に分ける宗教的ドグマとの相容れなさ。
このように、誰かに強制されて棄教したわけでも、特定のトラブルで追放されたわけでもなく、表現者としての成熟と人間的な自立の過程で自然と教会の枠組みを脱したというのが、脱退の真実です。