建築基準法において、火災の拡大を一定のブロック内に封じ込める「防火区画」の概念は、建物の安全性を担保する根幹です。内部の床や壁を強固な耐火構造で区画しても、外壁の窓から噴き出した火炎が外気を伝って直上階の窓を破れば、区画の意味を成しません。この外部からの延焼ルートを物理的に遮断するために規定されているのが、防火区画外壁スパンドレルの設置基準です。
根拠条文となる建築基準法施行令第112条では、防火区画を構成する耐火構造の床または壁に接する外壁面において、開口部相互の離隔距離を原則900mm以上確保することが規定されています。このスパンドレル900mm基準は、過去の大規模火災実験や火災工学の知見に基づき、開口部から立ち上る噴出火炎が上階の開口部サッシを直接加熱・破壊するリスクを大幅に低減できる境界寸法として導き出されたものです。
垂直方向(上下階の窓間)においては、床スラブを挟んで上下の開口部間に高さ900mm以上の耐火構造外壁スパンドレルを立ち上げるか垂れ下げることが求められます。外壁がカーテンウォール工法であっても、床スラブとカーテンウォール間のバックマリオン部およびスパンドレルパネル裏面には、所定の耐火被覆と遮炎・遮熱構造を隙間なく連続させなければなりません。