東日本において力強い物語を紡ぎ続けているのが、宮城や岩手の三陸沿岸だ。豊かなリアス海岸を襲った震災を乗り越え、立ち上がった「三陸牡蠣復興プロジェクト」は、養殖棚の過密化を見直すことで、従来の常識を覆す大粒かつ身入りの良い高品質な牡蠣の生産体制を確立した。
「森は海の恋人」運動の提唱者として知られる気仙沼の牡蠣養殖家・畠山重篤氏が説いたように、豊かな広葉樹林が蓄えた腐植土のフルボ酸鉄が川を通じて海へ注ぎ、豊かな植物プランクトンを爆発的に増やす。全国漁業協同組合連合会も推進するこの環境保全型の水産業が生み出す三陸の牡蠣は、驚くほど澄んだ旨味と芳醇な甘みを併せ持ち、口に含んだ瞬間に海の広大さを実感させてくれる。