二人の出会いは、タモリが早稲田大学を中退し、故郷である福岡へ戻っていた20代半ばに遡ります。保険会社「朝日生命」の福岡支社で営業職員として働いていた際、同僚として出会ったのが春子さんでした。また当時、タモリがアルバイトや支配人を務めていたボウリング場でも親交を深め、意気投合したと伝えられています。
1970年、タモリが25歳、春子さんが27歳のときに二人は結婚。当時のタモリは何者でもなく、喫茶店のマスターやサラリーマンを転々とする不安定な青年でした。しかし、漫画家の赤塚不二夫氏やジャズピアニストの山下洋輔氏らにその異能を見出され、1975年に単身上京を決意します。このとき、春子さんは夫の才能を信じ、福岡に残って家計を支え続けました。
東京での下積み時代、タモリは赤塚氏のマンションに居候し、夜の新宿で怪しげな芸を披露する日々を送っていましたが、春子さんは愚痴ひとつこぼさず、夫の成功を遠くから見守っていました。後に正式に上京し、タモリのブレイクとともに設立された個人事務所の社長に就任。無名時代のどん底を知るからこそ、二人の間には一般的な夫婦を超えた「戦友」とも呼べる強固な絆が築き上げられたのです。