筒井真理子さんの国際的な名声を決定づけたのが、2016年の映画『淵に立つ』(深田晃司監督)です。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した本作で、彼女は平穏な家庭に現れた元受刑者の男によって運命を狂わされていく主婦・章江を演じました。
劇中では、抑圧された性や宗教的葛藤、崩壊していく家庭の中で翻弄される姿を凄まじい緊迫感で体現。後半の展開で見せた激しい感情の吐露と身体的アプローチは、日本国内にとどまらず海外の有力紙からも「世界水準の名演」と絶賛されました。
この『淵に立つ』によって、筒井さんは第71回毎日映画コンクール女優主演賞、第38回ヨコハマ映画祭主演女優賞、第31回高崎映画祭最優秀主演女優賞など、その年の映画賞を総なめにしました。50代を迎えてからの主演女優賞ラッシュという快挙は、長年培ってきた実力が最高の形で花開いた瞬間でした。