厚生労働省の賃金構造基本統計調査および日本動物園水族館協会(JAZA)加盟園館の求人動向を総合すると、民間施設を含めた動物園飼育員の平均年収は約300万〜360万円(平均年齢30代半ば)で推移しています。国税庁が発表している民間給与実態統計調査における日本の平均年収(約460万円前後)と比較しても、明確に低い水準にとどまっているのが現実です。
特に若手層が直面する金銭的な壁は厚く、新卒入社時の初任給は月給17万〜20万円前後が相場となっています。ここから健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税(2年目以降)などが控除されるため、実際の初任給の手取り額は月14万〜16万円程度に落ち込みます。
都心部近郊の施設に勤務する場合、家賃補助が手厚くなければ、一人暮らしの家賃と光熱費、食費を支払うだけで給与の大半が消えてしまう計算です。現場の若手飼育員が自著や手記で「休日に外食する余裕がなく、自炊で極限まで切り詰めている」「同期の多くが実家暮らしを選択せざるを得ない」と語る背景には、こうした手取り額のシビアな現実が存在します。