トップカテゴリーで長年笛を吹き、退任後も独自の視点で審判の世界を発信し続ける元プロ審判の家本政明氏。同氏は、ピッチ上の審判員が晒されている極限状態のプレッシャーと、現場で生じる視野の死角について繰り返し言及している。審判は時速数十キロで走る選手たちの影に入り込みながら、コンマ数秒で笛を吹くか否かを決めなければならない。
過去に物議を醸した判定の裏側を紐解くと、そこにはピッチレベルにおける物理的な視界制限だけでなく、主審・副審・VAR担当者の間でのコミュニケーション上の細かなズレが存在することが分かる。家本氏は単に判定の正誤を追及するのではなく、「なぜその時、その審判にはそう見えたのか」という心理的・物理的メカニズムを解説し、ファンと審判の意識の隔たりを埋める試みを続けている。