巨大IPやVFX主導のスペクタクルが飽和し、映画界全体の潮流が転換期を迎える中、ハリウッド映画産業におけるトム・ハーディの立ち位置は際立って異質だ。彼はいわゆる「スター・システム」の産物でありながら、常に反骨精神を宿したインディペンデント映画の魂を失っていない。
どれほど巨大なプロジェクトであっても、安易なスター映画に堕落させず、泥臭いリアリズムを持ち込む。興行的な数字を担保しながらも、安牌を選ばないリスクテイカーとしての姿勢が、スタジオにとってもクリエイターにとっても代えの利かないカードとなっているのだ。