法律実務において極めて重大な論点となるのが、殺意の有無と結果の因果関係だ。刑法第240条は強盗が人を負傷させたときは無期または6年以上の懲役、死亡させたときは死刑または無期懲役に処すると定めている。ここで極めて重要なのは、被害者を負傷させる意図や殺害する意図が最初からあったかどうかを問わず、強盗の機会に生じた死傷結果そのものが罪責を決定づける「結果的加重犯」としての性質を持つ点だ。
意図的に命を奪った場合の強盗殺人罪と、暴行の弾みで死亡させてしまった強盗致死罪は、いずれも刑法第240条の後段に包括される。選択肢は死刑か無期懲役の二者択一しかない。有期懲役への減軽が認められない限り、20年や30年といった年数で刑務所を出る道は閉ざされる。
さらに現場を震撼させるのが「負傷」のハードルの低さだ。被害者が転倒して手首を捻挫した、あるいは拘束を解こうとして皮膚に全治数日の線条痕がついた程度であっても、法解釈上は強盗致傷罪が成立する。「殺すつもりはなかった」「脅すだけのつもりだった」という言い分は、傷害結果が発生した時点で量刑上の抗弁としてほとんど機能しない。傷害が生じている以上、未遂の主張は退けられ、既遂犯として6年以上の懲役刑が科される構造になっている。