かつては確定申告書とともに大量の医療費領収書を税務署の窓口へ持参するか、郵送で提出するのが一般的だった。しかし、税務行政の効率化と納税者の手続き負担軽減を図る観点から制度が改正され、「医療費控除の明細書」を添付する形式へと移行した。
この見直しにより、医療機関ごとの支払額を集計して明細書に記載すれば、領収書の原本添付は免除されることとなった。行政手続きのペーパーレス化を進める一大転換だった。だが、国税庁が求めたのは「原本の提出不要」であって、「原本の破棄許可」ではない。行政の手間を減らす一方で、後述する検証可能性を担保するために5年の保存義務が据え置かれた背景を、正しく理解しておく必要がある。