この山が古来「あふりやま(雨降り山)」と呼ばれ、雨乞いや五穀豊穣を願う農民から崇められてきた歴史は深い。主祭神として祀られているのは、山を司り水と緑の循環を見守る大山祇大神だ。山頂の本社には高龗神、下社には大雷神が配祀され、天候をも掌握する厳かな神気配が山全体を包み込んでいる。神社本庁の傘下にありながらも、独自の神仏習合の歴史や修験道の痕跡を色濃く残す佇まいは、全国的にも類稀な存在感を放つ。
歴史の転換点において、数多の権力者たちがこの社を目指した。特に鎌倉幕府を開いた源頼朝は、平家追討の祈願成就に際して自らの太刀を奉納したと伝えられ、以後、徳川将軍家に至るまで武家の篤い庇護を受けてきた。境内に漂う研ぎ澄まされた気配は、かつて天下を狙った武将たちが膝を屈し、己の運命を託した日々の名残なのだろう。