蕪嶋神社を語る上で欠かせないもう一つの名物が、ウミネコによる「フン害」を逆手に取った縁起担ぎです。最盛期には3万羽を超える鳥たちが頭上を旋回するため、参拝中にウミネコのフンが頭や衣服に直撃することは日常茶飯事です。一般的には不運とされる出来事ですが、蕪嶋神社では「ウン(運)がついた」と前向きに捉える伝統があります。
境内でウミネコのフンが直撃した参拝者は、社務所に申告すると「会運証明書(開運証明書)」を無料で拝受できます。この証明書は、単なる記念品にとどまらず、「天からの強烈な幸運を引き当てた証」として財布や神棚に大切に保管する参拝者が後を絶ちません。さらに、フン除け祈願が施された専用の絵馬や記念ステッカーも授与され、ユーモアと信仰心が融合した八戸ならではの温かいおもてなしとして親しまれています。
SNSや口コミサイト(X、Googleマップ、Yahoo!知恵袋など)に寄せられた参拝者のリアルな声を分析すると、現場の生々しい実態が浮かび上がります。
「想像の100倍ウミネコが近くて大興奮した。鳴き声の音圧と生命力が凄まじい」「鳥好きには天国のような場所。ただし無料貸出のビニール傘は絶対に差した方がいい」「スーツで行ったら見事にフンを落とされたが、社務所で『おめでとうございます!運がつきましたね』と笑顔で会運証明書を渡され、不思議と晴れやかな気持ちになった」といった感動の声が目立ちます。一方で、「風向きによっては鳥特有の匂いが強い」「フンが気になって落ち着いて参拝できない」といった率直な意見も見られます。
不測のアクシデントを「天恵の吉兆」へと転換するこの発想は、厳しい自然環境と共生してきた三陸沿岸の人々の強靭な生活の知恵とポジティブな民俗心理の表れと言えます。